映画『月の満ち欠け』を観た

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なんでこの映画を見たかったのか振り返ると、岩波文庫から出ている小説なのに「映画化!」という帯が付いているのを書店で見たからだと思う。
岩波文庫で現代小説が出るんだ!?という驚きと、直木賞受賞作ということと、しかもそういう作品が映画になっているということから興味を持った。
もたもたしていたら観るのは近所の映画館でやっている最終日になってしまった。

この作品は「生まれ変わり」がテーマで、時代が行き来するのでちょっと難しい。
この映画の中の「現在」は2007年で、そこから過去の1980年、1988年、1999年がそれぞれ描かれていて、「瑠璃」については「生まれ変わり」が二度描かれているのでややこしい。
大泉洋演じる小山内が、瑠璃の親友だったゆいから言われても「生まれ変わり」を受け入れられずにいたのは仕方のないことだと思う。
ゆいの娘の「瑠璃」は「あきらくん」に会えたのだろうか。「正木瑠璃」として会えている描写があるけれど、時空が飛んでいて2007年現在からかけ離れすぎているので、「ゆいの娘の瑠璃」が「現在の『あきらくん』に会えた」わけではないと思っている。でもそんなことを考えるのは余計なことかもしれない。
高田馬場を舞台にしたシーンは結構現実的な感じがしたのだけれど(2023年の今の私から見た1980年なので、その時代を知っている人から見たら現実的ではないのかもしれないが)、それに対し「生まれ変わり」というテーマがなんとなくファンタジックすぎるように感じた。

これは原作ではどうなっているんだろうと思うところが多かったので原作も読んでみたい。

映画『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』を観た

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夫と映画を見に行こうという話になって、夫からこの映画を見たいと言われたのでTOHOシネマズシャンテに見に行ってきた。全然知らない映画だったけれど、夫も何で知ったか忘れたけど観たいという話で、猫は好きなので見に行ってきた。

誰しも一度は見たことがあるであろう擬人化した猫イラストの画家であるルイス・ウェインの生涯についての物語なのだけれど、ルイスの精神疾患についての描写も深く、難しい純文学小説を読んでいるような感覚だった。
ルイスの妻であるエミリーが乳がんに侵されて病床に伏すようになって、二人で「世界は美しい」と話をしているところは泣けた。それがこの作品のテーマの一つでもあった。
ルイスが幸せだったのは妻であるエミリーと猫のピーターが健在だった頃までで、それ以降は辛い人生だったのかもしれない。後半は幸せそうな描写が少なく、少し辛かった。

ところで動物の擬人化というとピーターラビットの作者であるビアトリクス・ポターも思い起こされるけれど、ルイス・ウェインもほぼ同時代のイギリスの人物であることに気づいた。
大きな財産を築いたビアトリクス・ポターと、精神疾患を患い苦しい生活をしていたルイス・ウェインは対象的だなと思った。

2022年に観た映画を振り返る

去年の2月に仕事を辞め、障害者手帳の交付を受け3月末に受け取ったので、なるべく福祉の恩恵を享受しようと思って映画を観に行くことが増えた。
7月までは精神状態が安定しておらず、観るごとに感想記事を書いていたけれど、その後は状態が安定して出力欲求が減ったので感想を書いていなかった。

  • 5月

『劇場版 Free!-the Final Stroke- 後編』
感想記事

『ホリック xxxHOLiC
感想記事

  • 6月

トップガン マーヴェリック』
最初からワクワクするし面白いところしかなかった。

『恋は光』
感想記事

  • 7月

『メタモルフォーゼの縁側』
感想記事

『モエカレはオレンジ色』
感想記事

  • 8月

『今夜、世界からこの恋が消えても』
泣ける。花火大会のシーンが最高。

  • 10月

『もっと超越した所へ。』
結末がトンデモ映画だけど、ダメ男に振り回される女達の群像劇が面白かった。

『線は、僕を描く』
主人公の成長物語として良かった。

  • 11月

『すずめの戸締まり』
展開が早いが面白い。ジブリのオマージュ的なものが多い気がした。

  • 12月

『RRR』
初めてインド映画を見たけど面白いところしかなかった。暴力的なシーンはちょっと怖い。

なんと去年1年間で映画館で11本も映画を観ていた。今までの人生になかったことだ。
映画館ではないけれど、アマゾンプライムで『君の膵臓をたべたい』も観た。

去年映画館で観た映画で一番良かったと思うのは『メタモルフォーゼの縁側』だ。
自分が同人活動をしているという理由もあるかもしれないけれど、主人公の成長と交流の描写、人の死が無くてもしっかり話が成り立っているという点で私の中では2022年ベスト映画だ。

映画を見て感想を持つのはなかなか楽しい。今年も月に1本くらいは映画を観たいと思う。

療養とは治療と養生

少し久々にこのブログを書く。

8月末と9月半ばに薬を調整してからだいぶ病状が安定した。
うつから浮上した後、オランザピンという抗精神病薬は飲むのをやめることになったのだけれど、レクサプロという抗うつ薬だけは続けて飲んでいる。
その状況で1ヶ月以上、躁でもうつでもない状態が続いている。
つまり寛解だ。
自分の生活と頭の中がこんなに穏やかな事があるのかと思っている。
私の頭の中は、躁の時もうつの時もせわしなかった。

自分のことを「病気療養中」と言っていたけれど、「療養」という言葉をあまり理解できていなかった。
goo辞書で調べたら「治療と養生」と書いてあった。

2月に仕事を辞めて、それから半年以上の間、私は「治療」をしている状態だった。
軽躁気味だったり、うつ気味だったり、とにかく気分に大なり小なりの波があって、その間にラモトリギンという気分安定薬を25mgから200mgまで増やしたし(皮膚に副作用が出やすい薬なので一気に増やせないらしい)、その他の薬も増やしたり減らしたりしていた。
そして寛解期に入り、私はやっと「治療」が終わって、「養生」ができるようになったのだと思った。

今は家事と好きなことをやってぼんやり生活している。
最近はあんさんぶるスターズ!!Musicという音ゲースマホゲームを再開して、暇さえあればシャンシャンやっている。
本も少しずつ読んでいる。

こんな生活でいいのかなぁと思っているけれど、「養生」の1つ目の意味は「生活に留意して健康の増進を図ること」らしいので、今はあまりストレス負荷が高いことをせず無理しないで生活するのがいいのだろうと思った。

スマートウォッチが壊れたら朝起きられなくなった

正確にはシャオミのMi Bandなのでスマートバンドなのだけれども。
突然電源が切れて、充電してもスマホと接続せず、歩数カウントもしなくなったので壊れたんだと思う。
2021年2月の誕生日頃に欲しい物リストから送ってくれた人がいて、それからずっと付けていたのでおよそ1年半の寿命だった。
当時は「睡眠スコアバトル!」とかいってTwitterにスクショを貼るのが流行っていた気がする。

私がどのように使っていたかというと、歩数計と睡眠計とたまにランニングの記録に使っていた。スマホの通知には使っていなかった。ナイロン素材の通気性の良いバンドに付け替えて、風呂に入るとき以外は24時間付けていた。

歩数ならスマホのカウントもあるし、睡眠計もなくても生きていけるし、ランニングは最近していないので、無くても生きていけると思ったのだけれども、大変な影響があることに気づいた。
私は朝起きるときにMi Bandを見て時間を確かめてから起きていたようなのだ。

もちろん目覚まし時計やスマホのアラームは設定しているんだけれど、それは朝6時で、少し早い時間だ。そこからちゃんと覚醒するまで15分くらいかかるので、その間に腕のMi Bandで時間を見て、そろそろ起きなきゃという気持ちになって起床していた。

Mi Bandが壊れてからそういう起床が出来なくなった。
もしかしたら就寝前に飲んでいる薬のせいもあるかもしれないけれど、Mi Bandが壊れた日から2日連続で朝8時半以降に起きたので本当によくない。
Mi Bandの前に使っていたBaby-Gを1年弱しか使っていなかったのでもったいないと思って付けていたけれど、寝ているときにつけるにはちょっとごつすぎる。

うだうだせずにMi Band 7を注文した。ちゃんと朝起きられるようになるといい。

急浮上した

うつ状態から急浮上した。
まだ希死念慮は若干残るものの、一人で外出して電車に乗ってどこかへ行くということができるようになった。

前回の記事を書いた8月24日はうつ状態どん底だった。あんまりこういうことを書きたくないのだけれど、公園にネクタイを持っていって首を吊りたいと思っていた。
その翌々日の8月26日の朝に鬱になった原因に気がついて、ほんの少し浮上した。
その日は通院日だったので夫と一緒に病院に行って、薬の調整をしてもらった。
夕食後のレクサプロという抗うつ剤と、寝る前のオランザピンという抗精神病薬が増えた。
以前の私は抗うつ剤で常に軽躁状態だったので、抗うつ剤を飲むことには抵抗があったけれど、オランザピンという薬が躁とうつのどちらにも効くらしいので、先生の処方に従って薬を飲んだ。

効果はてきめんで、27日は午前中のうちに外出できた。午後は横になっていた。
28日は電車に乗って出かけることが出来たし、日中横になることがなかった。日課だったラジオ英会話を2週間ぶりに再開できた。

これはこれでいいんだけれど、躁にならないか心配だ。

ところで、前々からやりたいと思っていた自分の服薬の記録をグーグルスプレッドシートにまとめた(まずこれができるようになったのも急浮上の証と思う)。
あまりにも個人情報なので載せないけれど、「通院日」「状態」「朝食後」「夕食後」「就寝前」「頓服」を一覧にしている。
あとから自分のことを客観的に見返せるようになればいいなと思う。

暗い沼の底からなにか見いだせるのか

8月に入ってすこし安定していた躁鬱の波が乱れておかしくなった。現時点でめちゃくちゃ鬱だ。
普通の時間に寝ているのに、夜中の2時とか3時に目を覚まして眠れなくなるし朝起きれない。
仕方ないのでロラゼパムという頓服薬を飲んでから寝るようにしたら変な時間に起きなくなった。
でも結局朝起きれてないし家事もできない。
時間の使い方が上手くない。
友人に会えば、会った後にメンタルがおかしくなる。
先日はワクチン4回目のついでに別の友人とお茶しようと思ったのだけど、あまりにも鬱がひどいので延期してもらったし、ワクチンもキャンセルした。

おかしくなった原因にわかっているものが3つある。

  • 就活で、直接の面接1回、Web面接2回やって全部ダメだったから
  • 疲れているのに無理やり帰省したから
  • コミケに参加して生活リズムが崩れたから

明らかに最後のが一番の原因なんだけどとりあえず上から順に書いていく。

  • 就活について

そもそもこれまで書類選考が通ることが無かったのに2社通ってしまったので焦ったし、面接を受けに行くことも、ウェブ面接を受けるのも緊張した。
直接の面接の結果は13日に届いて、これはあまり期待していなかったのでダメージは少なかった。
Web面接2回(一次→最終)の結果は今日届いた。こっちはわりと障害に理解のある会社で、最終まで進んだのでかなりダメージが大きかった。

  • 帰省について

これは後に述べるコミケの後、抗原検査してから帰省したのだけれど、疲れることばかりだった。長時間電車に揺られることになるし、帰省の最中にWeb面接がセッティングされてしまったのでパソコンも持っていかねばならず荷物が増えた。
実家にいる間は必要なこと以外は何も出来なかった。
何しに帰ったんだかさっぱりわからない。祖母のスマホケースを変えてあげたことくらいか。

まずコミケは早朝に起きて7時〜8時台にはビッグサイトに着いている必要がある。これでもう生活リズムは破壊される。
そしてコミックマーケットというイベントから受ける刺激は信じられないほど強い。
本が1冊売れればささやかな承認欲求が満たされるのに、それだけでは終わらないのである。
私が作っているのはオリジナルの小説本なので、そんなに数が出るわけではないのだけれど、ありがたいことに評価してくれる人がいて、赤字にはならなかったし、感想まで送ってもらえたりするのだ。
嬉しいんだけれど頭がおかしくなる。もうコミケ申し込まない!なんて思っていたのに結局次のコミケを申し込んでしまって頭を抱えている。


結局ここに書いたことの中で良かったことは「コミケに出て、本の感想をもらった」くらいしかない。
それは嬉しいけれど劇薬だ。
就活はうまく行かない。
何かをやれば何かがおかしくなる。
私はおそらく文章を書き続けたほうがいいんだと思うけれど、文章で食えるわけじゃないし、文章で食っていきたいわけでもないんだよなぁ。私はテキパキ働いて賃金を得たいのだ。

今は暗い沼の底で動けないままだ。