鈴木涼美『娼婦の本棚』を読んだ

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著者の鈴木涼美さんのことは、別の人が書いた本のトークイベントをオンライン視聴したときに知った。
面白い経歴の人だなぁと思っていたのだけど、この本の告知がされたときに表紙と内容に惹かれて「読みたい!!」と思い、その日のうちにネット書店で予約して買った。
なんというか「サブカルの極み~!」とも思えるタイトルと表紙なのに、新書判で出ているという謎のアンバランスさがあって、それが変な魅力になっていると思った。
読み始めたらすごくいい本だと思ったので、出版記念トークイベントにも行った。

この本のことを簡単に要約すれば、「これから夜の街に出ていく女の子たちが迷ったり惑ったりしたときの道標になるように、著者が影響を受けた本を紹介する本」なのだけれど、その一言では表せない凄さが本全体にぎっしり詰まっている本だと思った。
紹介されている一冊ごとに書いてあるテーマが違って、そのテーマの一つ一つに「私が読みたかったものだ」とか、「私が考えていたこの気持ちや感情がうまく言語化されている」とか、考えることがたくさんあった。
この本を読んで考えることがありすぎて、上手く感想をまとめることが出来ない。

私は著者より5歳くらい下で、東北のド田舎に育ったので、90年代後半に、東京で中高生を謳歌していた人たちになんとなく憧れがあった。
小学校高学年のときに、その当時の中高生が履いていたルーズソックスを羨ましく思っていたけれど、中学生になったら校則でガチガチに禁止されていたし、車の運転できない子供だけで行ける場所はほとんどなかった。
この本には、私が憧れた世代の、東京で過ごした青春が書いてあるし、その時代を生きた著者のいろいろな人生経験から気づいたことが凝縮されていると思った。

著者の意図している、この本の対象年齢である二十歳前後から、私はずいぶん離れているけれど、今この本を読めて良かったと思う。
きっと今の私でなければ理解できないことも書いてある。
この本の中で紹介されている本には、自分の本棚にある本もあって、それを読み返したいと思ったし、この本を読んで買った本もある。

この本に出会えてよかった。